代表ご挨拶

 私は被爆者家庭で幼い頃から被爆地で育ちました。

原爆の瓦礫や進駐軍の姿を見ながら、食うに事欠く生活の中で、大人の被爆者たちは艱難辛苦して、再建や再興に努力していました。私の年代の者はその方々に育てられました。後期高齢者となって久しい今になってもその情景は消えません。

 

 そして、戦後の復興時代や朝鮮戦争、キューバ危機、冷戦時の高度成長時代などから現在までの体験的歴史の意義を、引退してからも深く考え続けています。我が国の反核運動の変遷もその体験の中に含まれます。

 

 かつて、技術分野に携わった一人として考えてみますと、「今の反核・核廃絶運動はそのままで良いのだろうか?」「日本の安全保障を削減すれば平和になるのだろうか?」「隣国の強大化する軍事力や日本領土の侵害は止むのだろうか?」など、疑問が膨らみ続けます。技術は常に進展することを考えれば、これまでの多くの【 平和運動 】は心情に傾き過ぎているような気がしてなりません。

 

 弊会の設立趣意書ではこのような現実の視点も重視することにしております。

 

 今後とも一層のご協力、ご指導、ご鞭撻を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

 

 

平和と安全を求める被爆者たちの会

会  長    中村 新平